2013.09.10

Ray Samuels Audio The Tomahawkを入手

Ray Samuels Audioの小型ポータブルアンプ、
The Tomahawkの中古品を購入しました。


Ray Samuels Audioは米国のガレージオーディオメーカーです。
ここで説明するまでもありませんが、
このメーカーは日本国内では「SR-71A」などのポータブルアンプが有名で、
今のポータブルアンプブームの立役者とも言える
非常に高い人気を誇っています。
中古市場の流通も活発で、今でもこのメーカーのアンプが高値で取引されているのをオークションやオーディオ店の店頭で確認することができます。

当機、The Tomahawkの特徴としては、

・イヤホン専用のポータブルアンプ
・単4電池2本で数百時間駆動できる超省エネ仕様
・非常に小さく、軽量である


という割り切った仕様が面白く、興味をそそられました。
また、当機はポータブルアンプブームのさきがけとなった銘機であるとの事。


時を経て、色々なメーカーから新しいポータブルアンプがリリースされていくうちに
相対的に評価が下がっていったそうですが、
僕にとってはこれがファーストコンタクトなので新鮮です。


サイズは僕の手持ちのポータブルアンプの中でも最小、最軽量。
RSA_Tomahawk_009.jpg

外観。
RSA_Tomahawk_002.jpg
「出来の良い工芸品」または「美術品」といった印象の美しい外観で、手に取って納得のクオリティ。
日本人好みのツボをついてます。
RSA_Tomahawk_003.jpg
左から電源スイッチ、ヘッドホンジャック、ライン入力ジャック、ボリューム、LED。
撮影が下手なのでヘアライン加工が荒々しく見えますが、
実物はもっと細かいです。

裏面。
左にゲインスイッチがあって、1倍と4倍を切り替えることができます。
RSA_Tomahawk_004.jpg
左右のナットを取り外して電池を交換する仕様です。

中身拝見。
RSA_Tomahawk_005.jpg
Ray Samuels Audioの設計思想の象徴と思われる、
15000μFの超特大容量デカップリングコンデンサが目を引きます。
RSA_Tomahawk_006.jpg
コンデンサの容量について、
僕がぺるけさん設計のFET差動ヘッドホンアンプを製作した時、
デカップリングのコンデンサ容量を増やしていくごとに低音に大きな改善を実感できたため、
当機はいかにも音が痩せそうな単4電池2本の低電圧駆動ながら
音の厚みを維持する改善効果があるのではないか…などと想像したり。

裏面。cMoyヘッドホンアンプ並のシンプルな回路でびっくり。
RSA_Tomahawk_007.jpg
こんな少ない部品で良い音が聴けるのだろうか…と若干不安になります。
RSA_Tomahawk_008.jpg

当機の使用部品については、
アルプスRK097、日開のトグルスイッチ、パナソニックのMシリーズ電解コンデンサなど、
高信頼の日本製部品が多用されており、品質に対するこだわりが感じられます。



iPod nano4thと束ねて、一週間くらい聴いてみました。
RSA_Tomahawk_010.jpg
イヤホンはIE8、ImageX10、hf5をローテーション。

一聴して、あきらかにcMoyとは比較にならないほど音が良いです。
低電圧駆動のハンデをものともしない空間表現の上手さと、全域のバランスの良さに驚き。
当然ノイズも皆無で、ギャングエラーもありません。
ローゲイン設定が1倍との事ですが、ボリューム9~10時くらいの位置で丁度良い音量になります。(僕の環境の場合)

僕の手持ちの他のポータブルアンプと比較すると
力強い音圧でガツガツ聴かせるAMB mini3のようなタイプとは正反対の、雰囲気重視でさらっと自然にまとめている優等生で、
音の分離よりも全体感を意識した音作りをしている印象。
低電圧駆動という不利な条件をネガティブに持って行かないプロの仕事というものを実感させられました。


音質傾向はわかりやすいウォーム系で、高音が少し少なめに感じますがトータルではバランス良く、
痛い音が入ってこないように巧みな調整がされている印象。

これは非常に僕好みの音傾向なのですが、
現代風の高い分解能を追求したアンプの音を好む人には合わないと思われます。

また、IEM専用と謳っているだけあって、ヘッドホンでのリスニングは厳しいでしょうし、
ER-4Sのような高インピーダンスのイヤホンも満足に鳴らせない可能性があります。

ポータブルアンプという機器の大テーマ「高インピーダンスのヘッドホンを鳴らす」という仕様を大胆に切り捨てた結果、
限定的なシチュエーションで最高のパフォーマンスを発揮する当機が生まれたというわけで、
ガレージメーカーの試みって面白いなー、と思います。


The Tomahawkと僕の手持ちのポータブルアンプで比較してみると、
JDS Labs cMoyBBとは比較にならないほど良く、AMB Mini3やSound Potion Monolithとは好みで使い分けられる感じ、
Graham Slee VoyagerやCorda Stepdanceには差を開けられてしまうけど、
軽量小型で取り回しに優れ、電池交換もほぼ不要という点から
ある程度限定的ですが「気軽に持ち歩けてメンテナンスも皆無で、音が良い」という、ポータブルアンプの要求仕様を満たした優秀な製品だと感じます。


当機は間違いなく良いアンプなのですが、
Ray Samuels Audioの製品は一貫して価格設定が高めに感じるため、
コストパフォーマンスという点でひっかかるかもしれません。

The Tomahawkを新品で購入する場合の価格は295ドルで、
さらにここから送料が追加されるので3万円を超える価格となります。
(僕は国内で中古品を購入しましたが)
ポータブルアンプをはじめとした小型アンプの常として、
大きいアンプと比較し設計にゆとりがないため音質的に不利になりがちという事実があり、
The Tomahawkが3万円に見合った音質かというと、ちょっと考えてしまう所です。

しかし、ポータブルアンプの世界では大は小を兼ねませんから、小型化と音質の兼ね合いに納得できるならば、他に代替となるアンプがそうそう無いというのも事実。

ちなみに、ポータブルオーディオユーザーの界隈では、
もう少しお金を出してSR-71Aを注文する人が非常に多いようですが。



2013年の今となってはDAPも大きく進化しており、わざわざポータブルアンプを持ち歩かなくても十分な高音質を得られる良いDAPが多くリリースされているので、
上記のようなアナログのポータブルアンプはさらにニッチな立場になりつつあるようです。

当記事「The Tomahawk」がリリースされた当時の2006年は
僕が初めて買ったiPodの音があまり良くなかった事を覚えていますので、
The Tomahawkを介したDAPの音質改善効果はさぞ衝撃的だったのだろう…と想像つきます。

僕はヘッドホンアンプが大好きなので、
なんとか小型のポータブルアンプと小型のDAPを二段重ねで持ち歩ける環境を構築したいと思っています。
現状の代替となるDAPを選べずにiPod nano4thを愛用してきましたが、
近年ようやく気になるDAPがリリースされてきたため、
そろそろ乗り換えてみたいなー…と思う昨今。

現状、僕が気になっているのは「FIIO X3」「iBasso DX50」で、
世間の評価が固まってきた頃に判断したいと思います。
iriverのAK100がラインアウト出し対応してくれたらベストなんですけども。(mod抜きで)
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