2014.09.19

AMB LabのディスクリートHPA CK2Ⅲ(Cavalli-Kan Kumisa III)を組み上げました

春頃に購入したAMB Labの無帰還ディスクリートヘッドホンアンプ基板、
AMB Lab CK2Ⅲ (Cavalli-Kan Kumisa III)を組み上げました。
kumisa_017.jpg
以下、製作レポートになります。



2014年3月頃に基板を購入し、一時期製作を凍結させていたCK2Ⅲ。

まずはディスクリート回路を構成するためのトランジスタ類を必要数よりも多めに購入し、
hFE値が近いものを揃える選別作業を行いました。
kumisa_003.jpg
本来、入力部のFET以外は選別不要のようですが、
オシロスコープのような測定機器を持っていない素人の工作なので、
「あの時ちゃんと選別していれば、まともに動作したかも…」という後悔の可能性を潰しておきたかった。


本製作にあたり、3日かけてじっくりと着手しました。

1日目、購入したケースの加工。
kumisa_007.jpg
手の皮を擦りむいてしまって、痛い思いをしました。
アンプ本体と電源トランスを別筐体に分けることにして、
電源トランス本体から発生するノイズ隔離と省スペース化を目論みます。

電源ユニットから出力された交流電圧をアンプ本体に送り届けるため、4線のDINケーブルを自作。
kumisa_004.jpg
AWG22の撚り線を四つ編みにして、編組シールドとナイロンチューブを被せています。
kumisa_005.jpg
国内では4ピンのDINジャックが売られていないようなので、5ピンのもので代用しました。
kumisa_006.jpg


二日目、電源ユニットの製作。
kumisa_008.jpg
ここで変換された15V×2の交流電圧がアンプ本体に送られ、
15Vの三端子レギュレーターに送られ±15Vの正負電源となります。

ここで考えるべきは電源トランスの出力電圧。

AMB公式が推奨している電源トランスはAC15V7VA仕様の「TE62033」で、データシートによると無負荷時の電圧は20.9Vです。
このトランスの指定は、
米国の電圧仕様「120V 60Hz」で使う場合の推奨品と思われるため、
日本の100V電圧で動作させた時の出力電圧の変化を無視してはいけないと判断しました。

この115V品のトランスを日本の100Vで動作させると、
およそ0.87倍の出力になるそうですから、無負荷時の電圧が20.9×0.87=18.1V程度に目減りする計算。

マルツパーツで販売されている三端子レギュレーター7815の商品説明によると、
「ラインレギュレーションの規定条件VIN=17.5V~で判断し、リップルなどで入力電圧が落ち込んでも17.5Vを下回らないように」と書かれています。
前向きに解釈すると18.1Vでもぎりぎり使えそうな印象ですが、
実際に負荷をかけた時にはもっと電圧が下がるはずなので、
少し出力に余裕を見たほうが良さそう。

そこで、上記よりも1ランク電圧が高い、18V10VA仕様のトランス「Telema 70044K」を買いました。
こちらは無付加時の電圧が21.7Vですから、21.7×0.87=18.8Vとなる見込み。
(実際の通電テスト測定時にもほぼ計算通りの結果となりました)

次に、アンプ本体の半田付けを行い、二日目終了。
kumisa_009.jpg


三日目、アンプ本体の配線を行いました。
kumisa_010.jpg
この後、配線ミスが見つかったので修正し、
各種チェックと出力電力設定の調整を終え、無事に音が出て安全に使用できることを確認し、
CK2Ⅲ 完成!

この達成感は何事にも代えがたい快感…!無事に動作してよかった!


昨年製作したM3はプリアウト端子を持つ「ヘッドホン兼ラインアンプ」でしたが、
当機はCK2Ⅲはさらに三種の入力切替とミュート機能を追加し、正真正銘プリアンプとして使えるようにしています。

電源ユニット内部。
kumisa_011.jpg
アンプ本体内部。
kumisa_012.jpg
色気を出してオーディオ用電解コンデンサ(東信UTSJ)などを使ってしまったのですが、
発熱が大きい電源レギュレータのすぐそばに85℃1000時間保証の電解コンデンサを配置するのはどう考えてもやばい…。
悲観的に見積もって、2年程度でコンデンサが逝ってしまうおそれがあるため、
近日105℃の長寿命低ESR品に交換します。
kumisa_013.jpg
当機はステレオジャックにプラグを接続していない時のみ背面のプリアウト端子に信号が送られる仕組みで、
ヘッドホン接続時にはプリアウト側の信号が切り離されます。
kumisa_014.jpg
例によって、ヘッドホン接続時にはプリアウト側の信号がオープンになりノイズ発生の原因になるそうなので
ぺるけさんのFET差動ヘッドホンアンプの作例を参考に、
プリアウト側に470Ωの抵抗を半田付けし、ヘッドホン接続時、プリアウト信号部が接地されるようにしてあります。
ロータリースイッチはアルプスのSRRNシリーズを採用。
4回路3接点のものが欲しかったのですがローレット式シャフトのものしか流通がないようで、
消去法で3回路4接点のものを使い、
「1:入力1」「2:ミュート」「3:入力2」「4:入力3(ステレオミニ)」と切り替えられるようにしてあります。
kumisa_015.jpg
kumisa_018.jpg
kumisa_019.jpg
kumisa_020.jpg
我ながらそれなりに綺麗に作れた…と思ったのですが、
電源ユニットのパネルに白い汚れのようなものが…。
養生に使った塗装用の弱粘着テープが古かった(?)ためか、跡がついてしまいました。
kumisa_021.jpg
除去しようと手を尽くしましたが、ヤスリで削っても落ちないので諦めました。
パネル単体で10枚セット千円くらいで売っているので、気が向いたら交換しよう…。(ケース加工が面倒で億劫)
kumisa_022.jpg
電源部との接続イメージ。
kumisa_023.jpg


当機CK2Ⅲの使い勝手について。

CK2Ⅲは安定性に欠けると言われる「NO-NFB」のアンプですが、
オフセットを抑えこむDCサーボの機能が追加されており、安全に使うことができます。
(基板中央のOPA2134がサーボIC)

電源ON/OFF時のポップノイズは無く、気分良く使えます。(ごく小さな音は出ます)

残留ノイズについて。
ボリュームを上げた時に増幅されるノイズは非常に少ないのですが、
電源を入れ数十分が経過し、アンプが温まってきて本調子になってきた頃、
能率の高いカナルイヤホンを接続すると若干のハムノイズが聞こえてきます。
電源のほうに要因がありそうな雰囲気だったので
昇圧トランスをかませたり電源ケーブルを交換してみましたが、
改善されないので、別の要因があるみたいです。

少し調べてみた所、当機のような無帰還(正確には局所帰還のようです)アンプは
トランスから来るノイズを増幅してしまう傾向があるらしく、負帰還アンプと比較し低雑音に仕上げるのが難しいらしい。
もしかしたら配線の見直しなどで改善できるような気がしますが、ヘッドホンでは聞こえない程度のものなので
現状このままです。


さっそく、当機CK2Ⅲの音を聴いてみました。
リスニングにはヘッドホンのゼンハイザーHD650、ベイヤーDT880 E/600を使いました。

音質について、
まず第一に音の情報量の多さが際立っており、良くも悪くも細かい所まで聞き取れる制動感があります。
定位がビシッと決まる素性の良さに加え、
600ΩのDT880をドライブしても全く音痩せしない、余裕のある性能を持っていることがわかります。

当機のような無帰還アンプの音を「すっぴん」と例えられているのを見かけた事がありますが、
なるほどこういう意味かな、と実感しました。

僕が今まで聴いてきたディスクリートHPAはいずれもウォーム寄り、低音が柔らかい音傾向という印象でしたが、
CK2Ⅲはニュートラルに近いイメージ。

僕が聴いてきた中で、当機に近い音のイメージのアンプを挙げるなら、
Lehmann AudioのBCL…のクローンアンプであるLovelyCubeの音に近い第一印象。
検索してみたら、このLovelyCubeも無帰還のバッファ回路を持つヘッドホンアンプらしく、
ハムノイズが出るという点も合わせて納得。
(LovelyCubeは、ヘッドホンでも聞こえる大きなハムが出ましたが…)

同じAMB LABのDIYヘッドホンアンプで、オペアンプの増幅部を持つM3が濃厚な音傾向なので、
キャラクターの違いが割とはっきりしているような印象を持ちました。

製作にあたり、
電圧レギュレーターのそばの配置に適さないコンデンサを使ってしまったり、
その他いくつか課題が残ってしまったものの、
概ね想定通りに作ることが出来、久々に電子工作の醍醐味というものを味わえた気がします。

電解コンデンサを保守性の高いものに交換して慣らしが進んだ頃、
M3との比較でもしてみようかなと思います。
スポンサーサイト

Posted at 00:48 | DIY関連 | COM(0) | TB(0) |